楽天証券のVTIについて解説!本家VTIとの違いやメリット・注意点を紹介!

  • 2022年12月28日
  • 証券
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楽天証券のVTIとは、米国株式に分散投資できるインデックス型投資信託です。

大企業から中小企業の株をカバーしているため、低リスクで運用できる点が魅力です。

ただし、運用するうえで、リスクや注意点もあります。

本記事では、楽天証券のVTIの概要や本家VTIとの違い、メリットやリスクなどを紹介します。

楽天証券のVTIを購入して後悔しないためには、リスクなどを踏まえたうえで、運用しましょう。

VTIとは

VTIとは、「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(Vanguard Total Stock Market ETF)」の識別コードです。日本市場では、銘柄を識別するために、数字4桁の「銘柄コード」が用いられています。たとえば、トヨタ自動車は「7203」で、ソニーグループは「6758」です。

しかし米国市場では、VTIのように銘柄の識別には企業名の略称が用いられています。たとえば、米国市場売上高ランキングで1位(2022年10月時点)のウォルマート・ストアズは、「WMT」で、iPhoneで有名なappleは、「AAPL」です。
参考:米国市場 – 売上高 ランキング

VTIは、米国のETF(上場投資信託)で、幅広い株を取り扱っています。たとえば、次のような銘柄です。

・Apple
・Microsoft
・Amazon.com

これらの銘柄は、日本人の方にも馴染み深いでしょう。なお、ETFは株式市場に上場しているため、売買には株式取引が用いられます。

アメリカのバンガード社が提供している上場投資信託(ETF)

VTIはアメリカのペンシルベニア州に本社を置く、世界最大級の資産運用会社の1つ、バンガード社が提供しているETFです。世界18箇所に拠点を展開しており、(2018年12月31日)運用総資産は約549兆円のものぼります。

ETFは、自身で決めた金額でリアルタイムに取引でき、低額で分散投資できることが特徴です。しかしその分、投資には手数料などのコストがかかります。

しかし、バンガード社の平均経費率は0.08%と、業界の平均経費率0.31%を大きく下回るため、低コストで資産運用できるのです。経費率とは、投資商品の運用に必要なコストで、自身が所有している銘柄に基づいて、自動で支払われます。

たとえば、経費率が0.31%の銘柄に100万円投資している場合、年間の運用コストは3,100円です。平均経費率が0.08%のバンガード社に投資すれば、年間の運用コストを800円におさえられる計算です。このように低コストで運用できるため、資産家はより多くの利益を生み出せるのです。

これは、低コスト運用を長期にわたり追求してきた、バンガード社独自の魅力といえるでしょう。

米国の4,000社以上の株式で構成されている

VTIは、米国の4,000社以上の株式で構成されています。次の表は、VTIがベンチマークとしている、「CRSP USトータル・ マーケット・インデックス」の構成銘柄の比率です。

銘柄

構成比率

Apple Inc(アップル株式会社

5.86%

Microsoft Corp(マイクロソフト社)

4.82%

Amazon.com Inc(Amazon.com株式会社)

2.72%

Tesla Inc(テスラ株式会社)

1.96%

Alphabet Inc(株式会社アルファベットクラスA)

1.59%

Alphabet Inc(株式会社アルファベットクラスC)

1.40%

UnitedHealth Group Inc(ユナイテッド・ヘルスグループ株式会社)

1.31%

Berkshire Hathaway Inc Class B(バークシャー・ハサウェイ株式会社クラスB)

1.25%

Johnson & Johnson(ジョンソン・エンド・ジョンソン)

1.19%

Exxon Mobil Corp(エクソンモービル株式会社)

1.01%

出典: VTI – Vanguard Total Stock Market ETF | Vanguard(2022年10月27日時点)

CRSP USトータル・ マーケット・インデックスとは、市場の動きを把握するインデックス(指数)です。VTIの構成銘柄には、GAFAMを筆頭に、さまざまな企業が含まれています。GAFAMとは、大企業の5社(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)の頭文字をとった呼称です。

カバー範囲が広いVTIであれば、大企業ほどのポテンシャルを秘めた銘柄も含まれている可能性があるため、将来性にも期待できます。

楽天証券のVTI

楽天VTIとは、楽天証券が取り扱っている、米国市場の指数への連動を目指すパッシブ型投資信託です。インデックスファンドとも呼称されます。楽天証券のVTI一本で、米国株式の約4.000銘柄に低コストで分散投資できます。

この特徴から、ファンドアナリストが長期運用で優れた投資信託を厳選する、楽天証券の「ファンドセレクション」に選ばれました。また、ファンドスコアが星5と、ファンドセレクションの中で最も高い評価を得ています。

ファンドスコアとは、「同じ属性に分類する投資信託と比較して、効率的な運用を行ってきたファンド」を抜粋するための指標です。積立NISAにも対応しているため、楽天証券のVTIへの投資は、長期運用を検討している初心者から上級者にもおすすめです。

楽天VTIは楽天・全米株式インデックス・ファンドの略称

楽天VTIは、楽天・米国株式インデックス・ファンドの呼称です。ほかにも、楽天・全世界株式インデックス・ファンドがあります。こちらは、先進国及び新興国も含めた、世界の大型株から小型株まで約8,000銘柄に分散投資できます。

VTIを日本人投資家向けに整備した投資信託

VTIは、以前までも投資商品として人気を集めていました。しかし、海外の市場で取引するがゆえ、日本の個人投資家の方には参入障壁が高かったのです。また、国内では知名度も低く、手軽に参入できる市場ではありませんでした。

そのような懸念点を解消して、日本の個人投資家の方でも手軽に取引できることを目標に、楽天はバンガード社と手を組みました。そうして誕生したのが、「楽天・バンガード・ファンド」です。

手軽な取引をモットーにしているため、楽天証券のVTIは日本の個人投資家でも比較的かんたんに売買できます。購入した後は、長期間放って置くだけで運用できます。

また楽天証券のVTIは、長期運用を主としているため、積立NISAにも選ばれました。VTIや積立NISAに投資すると、長期にわたり、より利益が発生するでしょう。

本家VTIの価格と連動

VTIの価格は2013年時点で70ドル前半でしたが、年数を重ねるたびに右肩上がりで価格が推移してきました。2019年4月には、150ドル前半まで価格変動を見せましたが、新型コロナウイルスの影響で、約130ドルまで減少しました。

その後、2020年からは、価格が大きく上昇しはじめます。一時は、約130ドルまで減少した株価も、2020年5月には150ドルまで回復し、順調に右肩上がりを見せます。これは、米国の経済率の成長に加えて、同年4月のFRB(連邦準備制度)の、「ゼロ金利政策(政策金利をゼロに近づける金融政策)」が、価格の向上につながったと考えられるでしょう。

そして、2021年12月の約140ドルをピークに、徐々に下落していきました。ロシアのウクライナ侵略の影響で景気が乱れたこともあり、現在は200ドル手前付近を推移しています。
参考:VTI – Vanguard Total Stock Market ETF | Vanguard(2022年9月30日時点)

また、以前ほどではありませんが、新型コロナウイルスの影響もあり、景気のインフレで値上がりしづらいです。新型コロナウイルスが終息すれば、供給が回復して株価は上昇する可能性も十分にあるでしょう。

実際、VTIはこれまでの価格推移から確認できるように、長期的に値上がりしてきました。価格が下落する可能性はゼロではありませんが、これまでの推移を確認する限り、将来性が見込める投資対象といえます。

楽天証券のVTIと本家VTIの違い

楽天VTIと本家VTIの違いを次の表にまとめましたので、参考にしてください。

 

楽天証券のVTI

本家VTI

商品種別

国内投資信託

海外ETF

手数料

なし

なし

最低購入金額

100円

約28.000円

分配金

なし

あり

積立NISA

iDeCo

上記の表からわかるとおり、楽天証券のVTIと本家VTIでは、最低購入金額に約28倍の差があります。このように、VTI運用の参入障壁の低さが、本家VTIとの大きな違いといえます。

しかし、分配金は得られないため、定期的に利益を生み出さないことが懸念点です。

楽天証券のVTIと本家VTIの違いを具体的に解説します。

楽天証券のVTIは投資信託で本家VTIはETF

楽天証券のVTIの商品種別は投資信託です。投資信託は、証券会社や銀行などでも取り扱いがあるため、商品数や種類が豊富な特徴があります。ただし楽天VTIは、米国証券取引所で扱われている商品が投資対象になります。

一方で本家VTIは、ETF(上場投資信託)です。ETFは証券会社のみで取引されているため、商品数や種類は限られます。商品種別が異なれば、必然と利益率も変わってきます。

楽天証券のVTIと本家VTIでは、商品種別が異なることを覚えておきましょう。

楽天証券のVTIはリアルタイムにチャートを見ながらの売買ができない

楽天VTIと本家VTIの2つ目の違いは、リアルタイムにチャートを見ながら売買できるか否かです。本家VTIはリアルタイムにチャートを見られるため、逐一市場の動きを確認できます。

一方で楽天VTIは、過去のチャートしか確認できません。これは難点といえるでしょう。しかし、数か月単位や数年区切りでチャートは確認できるため、過去のチャートを辿って今後の推移を調べるテクニカル分析などは可能です。

本家VTIはリアルタイムにチャートを確認できますが、楽天証券のVTIは、過去の推移しか見られないことを覚えておきましょう。

楽天証券のVTIは積立NISAやiDeCoの対象商品

楽天VTIは、積立NISAやiDeCoの対象商品です。

積立NISAとは、2018年1月より開始された、100円から運用をはじめられる少額投資非課税制度を指します。非課税で運用できる期間は、投資してから20年間です。

一方でiDeCo(個人型確定拠出年金)とは、老後の資金問題を解決するための、年金制度です。毎月5,000円から1,000円単位で運用でき、国民年金の被保険者種別などで限度額が異なります。60歳になるまで資金を引き出せませんが、その間は非課税になります。

いずれにせよ、積立NISAやiDeCoの対象商品である楽天証券のVTIは、長期で資産運用したい方におすすめです。

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楽天証券のVTIのメリット

楽天証券のVTIを運用するメリットは、主に次の3つです。

・日本円で米国株全体に投資できる
・為替手数料が不要
・信託報酬が安い

それぞれ解説します。

日本円で米国株全体に投資できる

楽天証券のVTIの1つ目のメリットは、日本円で米国株全体に投資できる点です。CRSP USトータル・マーケット・インデックスは、大型株から中小型株を含めた米国の株式、約4,000銘柄をカバーしています。楽天証券のVTIを購入するだけで米国株全体に投資できるため、リスク分散効果も高いです。

米国の経済率の成長につれてリターンも増えるため、十分な将来性も見込めるでしょう。また、米国株に投資できる商品には、S&P500などの投資信託もあります。楽天証券のVTI同様、国内でも人気を集めています。

しかし、米国株の上位500銘柄しかカバーされていません。投資対象を分散させて低リスクで運用する観点からみると、米国株への投資を考えている方は、楽天証券のVTIを購入することが無難といえます。

為替手数料が不要

楽天証券のVTIは、為替手数料が発生しないため、「手数料負け」しないことも特徴です。手数料負けとは、利益よりも手数料のほうが大きくなった結果、資金にマイナスが出る現象です。

たとえば、米国株を運用しており、利益が3ドルでました。しかし、手数料が3.5ドル発生するため、結果マイナス0.5ドルになりました。この現象が手数料負けです。せっかく利益を生み出せても、資産がマイナスになっていれば本末転倒です。

楽天証券のVTIは為替手数料が不要のため、このような懸念点も解消されます。

信託報酬が安い

楽天証券のVTIの信託報酬は0.162%と、安いことでも知られています。信託報酬とは、ファンド(投資信託)を管理・運用してもらうための経費を指します。たとえるなら、フィットネスジムの会費です。通い続けるには、定期的に維持費を支払うことが欠かせません。これが、投資信託の世界では信託報酬に該当します。

信託報酬の相場は、年率0.5〜2.0%といわれているため、いかに楽天証券VTIの信託報酬が安いかがわかります。信託報酬の安さを可能にしているのが、運用体制です。人を使わずに機械的な運用をおこなっているため、信託報酬がほかのファンドに比べておさえられています。

楽天証券のVTIの信託報酬は0.162%と、信託報酬の相場よりも大きく安いことを覚えておきましょう。

楽天証券のVTIのリスク・注意点

楽天証券のVTIを運用すると、さまざまなメリットを得られますが、次のようなリスク・注意点があります。

・米国の景気に左右される
・ローリスク・ローリターンで長期的な資産形成をしたい方向け

商品を購入してから後悔しないためにも、リスク・注意点をおさておきましょう。

米国の景気に左右される

楽天証券のVTIは、米国株式が投資対象のため、他国には投資できません。そのため、利益の発生の有無は、米国の景気に左右されます。米国の経済率は2位の中国と差をつけてトップですが、今後、経済率が成長する保証はありません。2020年に発生したコロナショックのように、いつ何が起こるかわからないのです。

しかし、楽天証券のVTI にはGAFAMも構成銘柄に含まれているため、経済率が下がったとしても大暴落する可能性は低いといえます。米国の景気に左右されることが不安の方は、「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」に投資対象を変更することも1つの手です。

先進国及び新興国も含め、約8,000銘柄に分散投資できるため、米国のみの景気に左右されず、リスクを分散できます。

ローリスク・ローリターンで長期的な資産形成をしたい方向け

楽天証券のVTIは、ローリスク・ローリターンで、長期的な資産形成をしたい方向けの商品です。なぜなら通常、投資信託を購入して得られる「分配金」が、楽天証券のVTIでは支払われないからです。

分配金とは、商品の決済日に、投資家に支払われる金額のことです。投資家の中には、分配金を主として利益を得ている方もいます。分配金のない楽天証券のVTIは、短期間で利益が発生しにくいため、すぐに成果を上げたい方にはおすすめできません。

しかし、分配金の制度が存在しないわけではありません。楽天証券のVTIでは、分配金を再投資します。つまり、本来振り込まれるはずの分配金は、資産に充当されます。

長期間放置しているだけで、徐々にではありますが、雪だるま式に運用資産が増えていくのです。

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楽天証券のVTIに関するよくある質問

楽天証券のVTIに関するよくある質問は、次の3つです。

・楽天VTIは楽天証券のみで購入可能ですか?
・楽天VTIの基準価額はいくらですか??
・積立NISAは楽天証券の通常の取引口座で利用可能ですか?

質問に対する回答を見ていきましょう。

楽天VTIは楽天証券のみで購入可能ですか?

楽天VTIは、楽天証券以外にも、次の会社で購入できます。

・マネックス証券
・SBI証券
・auカブコム証券
・松井証券

楽天VTIの基準価額はいくらですか??

楽天証券のVTIの基準価額は、20,312 円(2022年10月27日時点)です。
参考:楽天証券 楽天・全米株式インデックス・ファンド

積立NISAは楽天証券の通常の取引口座で利用可能ですか?

楽天証券の積立NISAは、通常の取引口座では利用できません。総合取引口座を開設したのち、NISA口座を別途申し込む必要があります。両者の口座を開設していない方は、次の手順のとおり、口座開設してください。

1:こちらから口座開設ページに入る
2:本人確認書類をwebでアップロード
3:初期設定および、マイナンバー登録
4:完了

総合取引口座を開設している方は、次の手順のとおり、積立NISA口座を開設してください。

1:こちらから口座開設ページに入る
2:楽天証券にログインする
3:本人確認書類をwebでアップロード
4:受付完了メールおよび、お知らせを受け取る
5:完了

なお、楽天証券の積立NISAは、次のように取引可能スケジュールが決まっています。

取引商品

決済方法

積立設定開始日

投資信託

楽天

カードクレジット決済

11/13(土)〜

天証券口座

積立指定日の1か月前〜 

例:

・毎月1日積立の場合:12/1から設定可能

・毎月15日積立の場合:12/15から設定可能

・毎月25日積立の場合:12/25から設定可能


※上記日程以前に積立設定した際は、次の例のようなスケジュールになります。

・12/10を積立指定日とし、12/9以前に積立設定した場合は、12/10に発注されます。

※まいにち積立の場合は、積立設定日は12/23(木)以降になります。(受渡日が6営業日の場合)
参考:楽天証券 2022年NISA口座での取引開始可能日について

楽天証券で年内に積立NISAを購入する方は、上記のスケジュールを参考にしてください。積立注文の決済方法を「その他金融機関」に設定する場合は、選べる引落方法から、各金融機関のスケジュールを参考にして積立NISAを購入しましょう。

まとめ

楽天証券のVTIとは、楽天・全米株式インデックス・ファンドの呼称です。国内の投資家向けの商品で、楽天とバンガード社が手を組んで誕生しました。

手軽に運用できるように整備されているため、最低購入金額は100円と、良心的な価格設定です。本家VTIの最低購入金額が約28,000円と考えると、楽天証券のVTIは、投資初心者から上級者にもおすすめです。

ほかにも、為替手数料が不要だったり、信託報酬が安かったりするため、安心して長期で運用できるでしょう。ただし、米国の景気に左右されるリスクも否めません。より低リスクで運用してい方は、楽天・全世界株式インデックス・ファンドへの投資がおすすめです。

楽天証券のVTIは、メリットやリスクなどを考慮したうえで、運用しましょう。

※本記事の情報は2022年10月時点のものです。
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