自己破産をすると官報と呼ばれる、内閣府が発行する機関紙に住所や氏名などの個人情報が掲載されます。
自己破産を検討している方は「他人に借金問題を知られたくない」「官報に掲載されるとどうなるの」と不安になるでしょう。
本記事では自己破産が官報に掲載される理由や期間、周囲に知られる可能性や官報に掲載されない債務整理の方法を解説します。
自己破産を検討しているけれど他人に知られたくないと心配な方は、ぜひ参考にしてみてください。
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自己破産とは?

自己破産とは、借金問題を解決するためにおこなう債務整理の手続きの一つで、借金の返済ができないときに選ぶ方法です。
自身が持つ財産を換価処分して債権者に配当をおこなう代わりに、借金の支払い義務が免除されます。
裁判所が関与しない任意整理や、財産を維持したまま借金を減額して返済する個人再生などで、借金問題が解決できないときに選ぶ最後の選択肢です。
自己破産や個人再生、任意整理の特徴は次の表を参考にしてください。
手続きの種類 | 特徴 |
---|---|
自己破産 | ・借金の支払い義務が免除される ・財産の処分や職業の制限がある ・手続きが複雑 ・弁護士費用が高い |
個人再生 | ・借金が減額され、財産の処分や職業の制限がない ・裁判所が関与。要件が厳しい ・弁護士費用が高い |
任意整理 | ・債権者との柔軟な取り決めが可能 ・手続きが簡潔 ・応じない債権者がいる ・費用は比較的低い |
また、自己破産には次の3種類があります。
- 同時廃止事件
- 管財事件
- 少額管財事件
同時廃止事件は、破産手続きと同時に破産手続きが廃止される事件で、債権者に配当できる財産がないケースを指します。
管財事件とは破産管財人により財産の換価処分、債権者への配当、免責に関わる調査をおこなうケースです。
少額管財事件は管財事件より手続きの費用や負担を抑えられ、弁護士に自己破産を依頼した際に実施できます。
官報とは?

官報とは内閣府が発行している機関紙で、自己破産をすると破産者の個人情報が掲載されます。
官報について詳しく解説します。
官報は内閣府が発行している機関紙
官報とは法律や政令、条約などを国民に伝えるために、内閣府が発行している機関紙です。官報には紙媒体とインターネット版があり、紙媒体は購読料がかかります。
また、全国各地には官報販売所が設置されており、紙媒体の官報を購入できます。
インターネット版の場合は直近90日間分を無料で閲覧でき、有料会員になると過去記事の閲覧が可能です。
官報は1883年7月2日創刊で、国が発行する唯一の法令公布の機関紙として、行政機関の休日を除いて毎日発行されています。
掲載される内容は政府や省庁などが発表した文書、会社の決算報告などで、ほかにも大臣の人事や最低賃金などの記載もあります。
また、国家資格の登録者や高速道路料金の変更など、国民に関係のある幅広い情報が掲載されている機関紙です。
自己破産すると破産者の個人情報が掲載される
自己破産すると、破産者の個人情報が官報に記載されます。
記載される主な内容は次のとおりです。
- 事件番号
- 住所
- 債務者の氏名
- 決定年月日時
- 決定内容
- 裁判所名
住所と氏名がすべて掲載されるため個人の特定が可能で、職業が明らかになるケースもあります。
官報は一度掲載されると情報は半永久的に残り続け、官報情報検索サービスを利用すれば個人情報を検索できます。
図書館に保存されている官報は発行されてから数日程度で届き、いつでも閲覧が可能です。
官報公告は拒否できない
自己破産をした場合、官報公告は拒否できません。自己破産の個人情報を官報に掲載するのは、法律で決められているためです。
自己破産の情報は手続きから漏れた債権者の損害をなくすために官報に掲載します。
手続きから漏れた債権者がいた場合は、返済を受けられなくなるため、官報広告を拒否できないように決められており削除もできません。
官報に掲載された個人情報は、半永久的に記録として残り続けます。
自己破産が官報に掲載される3つの理由

内閣府が発行している官報に、なぜ自己破産をした方の個人情報が掲載されるのか、疑問を抱く方もいるでしょう。
自己破産が官報に掲載される理由を3つ紹介します。
法律に基づいて決定された内容のため
自己破産の情報が官報に掲載される理由は、自己破産が法律に基づいて決定された内容のためです。
法律に基づいて決定された事実は、国民に広く知らせる義務があり、官報へ掲載する必要があります。
また、自己破産の官報への掲載は破産法と呼ばれる法律で定められており、掲載の拒否や削除ができません。
自己破産は裁判所が関与する法的な手続きのため、官報の役割として破産者の個人情報を掲載しています。
債権者に自己破産の情報を知らせるため
自己破産を官報に掲載する大きな目的は、債権者に自己破産者の情報を知らせるためです。
債務者が自己破産をすると債権者は借金が返済されないため、経済的な影響があります。
債権者が自己破産手続きに参加していれば、一定の金額が返済される可能性があり、本来であればすべての債権者が対象です。
しかし、自己破産は個人の手続きのため、対象から漏れた債権者がいる可能性があります。
対象から漏れた場合、借金が返済されないうえに一定の金額も受け取れないため、債権者には大きな損害です。
すべての債権者が自己破産の手続きに参加できるのを目的として、自己破産の情報を官報に掲載しています。
自己破産の情報を見せしめのような目的で掲載している訳ではないことは把握しておきましょう。
金融機関・信用情報機関が確認するため
自己破産が官報に掲載されるのは、金融機関や信用情報機関が確認するためでもあります。
金融機関は現在、債権者と債務者の関係ではなくても、将来的に融資をおこなう可能性があるため、官報で自己破産の情報をチェックしています。
官報の自己破産情報を確認しているのは主に、銀行やクレジットカード会社、信販会社などです。
自己破産をする方は返済能力が欠けている特徴があり、将来的に金融機関から借入をした場合、再び返済できなくなる可能性があるでしょう。
将来的に債権者になる可能性がある金融機関は自己破産の情報を集め、審査をおこなう際の基準としています。
今後、破産者と利害関係を持つ可能性のある金融機関の利益を守る目的もあり、破産者の情報を官報に掲載しています。
自己破産により官報に掲載されるタイミング

自己破産により官報に掲載されるタイミングは、次のとおりです。
- 破産手続き開始決定時
- 破産手続廃止決定、終結決定時
- 免責許可決定時
いずれも裁判所で決定されたあと、約1~2週間で官報に掲載されます。
官報に掲載されるタイミングについて、詳しく解説します。
破産手続き開始決定時
自己破産の情報がはじめて官報に掲載されるのは、破産手続き開始決定時です。
自己破産の申し立てをおこなうと破産審尋がおこなわれ、内容に問題がない場合は破産手続開始決定となり、官報に掲載されます。
自己破産者が債権者に対して分配可能な財産を所持していない、または免責不許可事由のない場合は、破産手続きと同時に破産手続廃止決定となります。
破産手続きと同時に破産手続廃止決定をおこなうケースを同時廃止事件と呼び、官報に掲載されるタイミングは全部で2回です。
破産手続廃止決定・終結決定時
自己破産者が債権者に分配できる財産を所有している、または免責不許可事由がある場合は、破産の理由や財産の調査のために破産管財人が付きます。
破産管財人が付く自己破産のケースを管財事件と呼び、破産手続廃止決定時や終結決定時のタイミングでも官報に掲載されます。
管財事件の場合では、官報に掲載されるタイミングは3回です。
個人がおこなう自己破産は、一般的に同時廃止事件が多い傾向があるため、官報に3回掲載されるケースは多くありません。
自身が管財事件になるのかどうか不安な方は、法律事務所に相談しましょう。
免責許可決定時
自己破産の手続きが問題なく進むと、裁判所から借金の支払い義務がなくなる免責が許可されます。
管財事件の場合、破産管財人の選任や債権者集会などをおこない、免責許可決定される流れです。
免責許可決定時に、もう一度個人情報が官報に掲載されます。
免責が許可されると債権者は破産者に借金返済を求められなくなるため、免責の情報を知らせるために官報に掲載されます。
自己破産で官報に掲載される回数やタイミングは、同時廃止事件か管財事件かで異なるため、自身の場合は何回掲載されるのかを確認しましょう。
官報の閲覧方法別の掲載期間

官報は次の3種類から閲覧が可能です。
- 紙媒体
- インターネット版官報
- 官報情報検索サービス
それぞれの掲載期間を解説します。
紙媒体
紙媒体の官報に自己破産の情報が掲載されるのは発行された日のみで、個人情報が数日にわたり掲載される訳ではありません。
官報に掲載されるのは同時廃止だと2日間、管財事件の場合だと3日間掲載されます。
紙媒体の官報は発行される日の朝8時30分、国立印刷局と東京都官報販売所に「本日の官報」として掲示されます。
破産者の情報が掲載されている紙媒体の官報を入手できるのは、基本的に発行日のみです。
ただし国立国会図書館や各地の図書館では、一定期間の官報を所蔵しているケースがあるため過去の官報を閲覧できます。
インターネット版官報
インターネット版官報は、その名のとおりインターネット上で官報が閲覧できます。自己破産をした方の個人情報が掲載される期間は、紙媒体と同じです。
インターネット版官報は紙媒体の官報をPDFにしたファイル形式で、次の官報は無料で閲覧できます。
- 2003年7月15日以降の法律、政令などの官報
- 2016年4月1日以降の政府調達の官報
- 直近90日間の官報
ただし名前や日付などでの検索はできないため、特定の方の自己破産情報を見つけるのは困難です。
官報情報検索サービス
官報情報検索サービスは1947年5月3日までさかのぼり、官報を閲覧できる会員制の有料サービスです。
日付やキーワードを利用した検索が可能で、過去の自己破産情報を半永久的に確認できます。
日付検索のみの検索と、日付と記事検索ができるサービスがあり、それぞれ料金が異なります。
官報情報検索サービスは、主に金融機関の関係者が利用し、一般の方が利用するケースは少ないでしょう。
ただし、自己破産をする場合はいつでも検索できるサービスがあることを覚えておきましょう。
官報により自己破産が周囲に知られる可能性はある?

官報への掲載により、自己破産を周囲に知られるケースはあるのか気になる方も多いでしょう。
自己破産をした情報が官報に掲載され、周囲に知られる可能性は少ないといえます。官報掲載により、まわりに知られる可能性が低い理由を解説します。
一般の方の多くは官報を閲覧しない
一般の方の多くは官報を閲覧せず、閲覧の方法や目的も知らない方が多いため、官報から自己破産に気づかれる可能性は低いです。
官報を毎日見る方は主に金融機関の関係者や一部の限られた職業の方などで、一般の方の目に触れる機会は多くはありません。
官報に掲載された情報は残り続けるため、自己破産した情報が知られる可能性はゼロではない点は注意が必要です。
ただし、毎日発行される官報をすべてチェックしている一般の方は、いたとしてもごく少数で自身の自己破産の情報が知られる心配はいらないでしょう。
官報から特定の名前を見つけることは難しい
官報に掲載されている情報は非常に多く、特定の名前を見つけるのは困難です。
官報には自己破産情報のほかにも、さまざまな告示や人事異動などの情報が掲載されており、紙媒体は32ページあります。
官報の本紙に加え、号外や政府調達も随時発行されており、すべてをあわせると膨大な情報が掲載されています。
官報を見ている方が少ないうえに、膨大な情報のなかから自身の自己破産の情報にたどり着く知り合いがいる可能性は極めて低いといえます。
偶然知り合いの目に触れる可能性もゼロではありませんが、心配しなくてよい確率といえるでしょう。
インターネット版官報では名前検索できない
インターネット版官報では名前での検索ができない点も、周囲に知られる可能性が低い理由です。
過去90日間分を無料で閲覧できるインターネット版官報では、紙媒体の官報をPDFにしたファイル形式なため、名前やキーワードでの検索ができません。
インターネットで検索をしても、官報に記載されている情報は出てこないため周囲に知られる可能性は低いといえます。
官報情報検索サービスでは個人情報からの検索が可能ですが、名誉棄損やプライバシーの侵害になる行為は利用規約で禁止しています。
インターネット上で知り合いに見つかる可能性は低いうえに、見つけられたとしても悪用は禁止されているため、周囲に知られる心配はいりません。
官報から得た情報を業務外で利用できない
官報を毎日確認する職業の方が、官報から得た情報を業務外で利用できない点も周囲に知られる可能性が低い理由です。
官報から得た情報を業務外で利用したりほかの方に伝えたりする行為は、法律で禁止されています。
もちろん、インターネット上やSNSで拡散する行為も禁止されており、名誉棄損罪や個人情報保護法の違反です。
たとえば、名誉棄損罪は3年以下の懲役か禁錮、または50万円以下の罰金になる可能性があります。
また、法律違反が原因で会社を退職させられるリスクもあり、業務上で得た情報を外部に漏らすケースは考えづらいでしょう。
官報に掲載されない債務整理の方法

自己破産をすると官報に掲載されますが、債務整理の方法として任意整理や特定調停を選ぶと官報に掲載されずに済みます。
官報に掲載されない債務整理の方法について、詳しく解説します。
任意整理
任意整理とは債権者と直接交渉をおこない、将来の利息のカットや返済期間を延長して借金を返済していく方法です。
裁判所が関与せずに金融機関と直接交渉して和解するため、官報には記載されずに済みます。
任意整理のメリットやデメリットは、次の表を参考にしてください。
・利息や遅延損害金が免除できる可能性がある
・返済期間が3~5年に延長できる
・家族や会社に知られにくい
・手続きが簡潔で必要書類が少ない
・財産を処分する必要がない
・過払い金の返還請求ができる可能性がある
・債権者を選択できる
・代理人に依頼すると取り立てが止まる
・代理人の依頼費用が比較的安く済む
・任意整理に応じない債権者もいる
・借金の元金は減額できないケースが多い
・完済から5年程度は信用情報機関に事故情報として登録される
・借入やカードの新規発行ができない
任意整理は自己破産と比べて手続きが簡単で、財産を処分せずに済む、職業の制限がないなどのメリットがあります。
任意整理が向いている方の特徴は、次のとおりです。
- 借金総額が減れば返済が可能な方
- 毎月の安定した収入がある方
- 毎月遅延や滞納がなく返済できている方
- 家族や会社に借金問題を知られたくない方
- できる限り手間を省きたい方
- 財産を処分したくない方
上記に当てはまる方は、自己破産のみではなく任意整理も検討しましょう。
特定調停
特定調停とは借金の返済が難しい債務者の申し立てにより、簡易裁判所が債務者と債権者の話し合いを仲介し、借金返済へ向けて和解を目指す方法です。
裁判所が関与しますが官報への掲載はなく、官報掲載を避けたい方に向いています。
ただし、裁判所からの通知が自宅に届くため、家族に知られたくない方は注意が必要です。
特定調停のメリットとデメリットは、次の表を参考にしてください。
・利息や遅延損害金が免除できる可能性がある
・裁判所の調停委員が主導で交渉をおこなう
・財産を処分する必要がない
・債権者を選択できる
・特定調停の受付票が債権者に送られると基本的に取り立てが止まる
・費用が安い
・原則的に本人が手続きをおこなう必要がある
・裁判所への出頭が平日のみで日程調整が難しい
・借金の元金は減額できないケースが多い
・完済から5年程度は信用情報機関に事故情報として登録される
・借入やカードの新規発行ができない
・過払い金の返還請求ができない
・返済できないと判断された場合、自己破産か個人再生に移行する可能性がある
・和解成立後に返済ができない場合、
債権者は強制執行が可能
特定調停はほかの債務整理と比べて費用を安く抑えられ、裁判所の仲介のもとで和解を目指せる点がメリットです。
特定調停が向いている方の特徴は、次のとおりです。
- 借金を返済する意思がある方
- 毎月の安定した収入がある方
- 債務整理手続きの費用をできる限り抑えたい方
- 毎月遅延や滞納がなく返済できている方
- 浪費やギャンブルなど、原因を知られたくない借金がある方
上記に当てはまる方は、官報に掲載されない特定調停も選択肢に入れて検討しましょう。
まとめ
自己破産の情報が官報に掲載される理由や期間、周囲に発覚する可能性や官報に掲載されない債務整理の方法を解説しました。
官報とは内閣府が発行する機関紙で、自己破産をすると主に次の情報が掲載されます。
- 事件番号
- 住所
- 債務者の氏名
- 決定年月日時
- 決定内容
- 裁判所名
自己破産の情報が官報に掲載される理由は、法律に基づいて決められた内容のためで、漏れている債権者に情報を伝える役割があります。
また、将来利害関係を持つ可能性がある金融機関の利益を守るために破産者の情報を官報に掲載しています。
官報を閲覧する方法は次のとおりです。
- 紙媒体
- インターネット版官報
- 官報情報検索サービス
また、官報の掲載により自己破産を周囲に知られる可能性は極めて低いでしょう。
理由としては、一般の方は官報を見ないうえに情報が膨大で見つけるのは難しい点と、インターネット版官報では名前検索できない点があげられます。
また、官報から得た情報をほかでは利用できないため、官報から自己破産が発覚する心配は低いといえます。
官報への掲載に抵抗がある方は、官報に掲載されない債務整理の方法として任意整理か特定調停を検討しましょう。
※本記事の情報は2023年8月時点のものです。
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