法テラスで債務整理する方法は?費用を抑えられる条件やメリット・デメリットも解説

「安い費用で債務整理をするなら、法テラスを利用した方がよい」と聞いたものの、法テラスについて詳しく知らない方も多いでしょう。

法テラスには、弁護士への依頼費用の立て替え制度があり、毎月1万円ずつ返済します。経済的に苦しい方でも、債務整理を依頼しやすいでしょう。

本記事では、法テラスで債務整理をする手順や利用条件について解説します。法テラスのメリットやデメリットも紹介しているため、本記事を読み、法テラスを利用するかどうかを検討してみてください。

目次

法テラスとは?

法テラスは、正式名称を「日本司法支援センター」といい、法務省が設立した法的トラブルのための総合案内所です。

  • 経済的な理由で弁護士に依頼できない方
  • 近隣に法律事務所がなく、相談先がわからない方
  • 今抱えている悩みの解決策を知りたい方

上記の悩みを抱える方のために、情報提供業務や民事法律扶助業務などをおこなっています。

法律問題の解決をサポート

法テラスの業務の1つが、無料で法律に関する情報提供をおこなうことです。

法テラスは、離婚や借金、相続やネット被害など、さまざまな法律に関わる問題に対応しています。

サポートダイヤル(0570-078374)に連絡すると、オペレーターが悩みの内容に合わせて、情報提供をおこないます。

  • 法制度の紹介
  • 相談窓口の紹介
  • 最寄りの法テラスの紹介

無料で情報提供をおこなう機関であるため、現在、法的なトラブルを抱えている方でも気軽に利用できるでしょう。

受付時間は平日の9:00~21:00です。

債務整理では法律扶助制度を利用

経済的に苦しく、弁護士をつけられないと悩んでいる方のために「民事法律扶助」と呼ばれる制度があります。

民事法律扶助業務とは、法テラスがおこなう3つの業務のことです。

  • 無料の法律相談(1回30分で3回まで)
  • 弁護士や司法書士への依頼費用の立て替え(代理援助)
  • 書類作成支援

通常、弁護士に依頼する場合は、着手金や実費の支払いは一括でおこないます。

しかし法テラスでは、一括払いが難しい債務者のために、弁護士への依頼費用を立て替えます。債務整理の手続きが完了した後、債務者が法テラスに分割で返済する流れです。

法テラスへの支払い金額は、毎月5,000円〜1万円で、分割払いによる利息は発生しません。

債務者が負担する費用が少ないため、金銭的に苦しい方でも債務整理を依頼しやすいでしょう。

法テラスで債務整理する際の費用の目安

債務整理は、任意整理や個人再生、自己破産の3つに分類されます。それぞれの手続きでかかる費用の目安を紹介します。

任意整理の場合

弁護士へ依頼した際の費用は、債権者数によって変動します。債権者数とは、お金を借り入れている賃金業者の数です。

該当する債権者数の費用を確認しましょう。

債権者数着手金実費合計額報酬金
1社33,000円10,000円43,000円原則なし※
2社49,500円5,000円64,500円原則なし※
3社66,000円20,000円86,000円原則なし※
4社88,000円20,000円108,000円原則なし※
5社110,000円25,000円135,000円原則なし※
6社〜10社154,000円25,000円179,000円原則なし※
11社〜20社176,000円30,000円206,000円原則なし※
21社以上198,000円35,000円233,000円原則なし※
※過払金を回収した場合は、報酬金が発生
※料金はすべて税込表示です。

弁護士や司法書士に直接依頼すると、任意整理による減額報酬が11%発生します。しかし、法テラスは報酬金も立て替えるため、債務者が報酬金を支払う必要はありません。

過払い請求にかぎり、報酬金の支払いが必要になります。法律相談の際に、報酬金の金額を確認しておきましょう。

個人再生の場合

債権者数着手金実費合計額報酬金
1社165,000円35,000円200,000円原則なし※
11社〜20社187,000円35,000円222,000円原則なし※
21社以上220,000円35,000円255,000円原則なし※
※過払金を回収した場合は、報酬金が発生
※料金はすべて税込表示です。

個人再生(民事再生)は任意整理とは異なり、裁判所を通して借金の減額をおこなう手続きです。

任意整理よりも手続きが複雑であるため、解決までに時間がかかり、費用が高くなる傾向にあります。

自己破産の場合

債権者数着手金実費合計額報酬金
1社132,000円23,000円155,000円原則なし※
11社〜20社154,000円23,000円177,000円原則なし※
21社以上187,000円23,000円210,000円原則なし※
※過払金を回収した場合は、報酬金が発生
※料金はすべて税込表示です。

自己破産では、一定額の所有財産がある場合、財産を売却して債権者に対してお金を分配します。

上記の手続きを「管財事件」といい、管財事件になると裁判所へ納付する管財予納金が必要です。生活保護を受給している場合は、法テラスが上限20万円まで管財予納金を立て替えますが、生活保護を受給していない方は自身で支払う必要があります。

予納金の相場は、20万〜50万円です。依頼費用とは別に、支払いが必要になることを知っておきましょう。

法テラスで債務整理するための条件

法テラスは、すべての方が利用できるわけではありません。

法テラスの無料法律相談を受ける条件は、次の1、2、4を満たしていることです。

  1. 一定額以下の収入である
  2. 一定額以下の保有資産である
  3. 勝訴の見込みがないとは言えない
  4. 民事法律扶助の趣旨にあてはまる

また、費用の立て替え制度を利用するためには、1〜4のすべてを満たす必要があります。

一定額以下の収入である

法テラスの利用条件の1つが、収入が基準額以下であることです。

収入のある世帯人数によって基準が異なるため、次の表で確認しましょう。

申し込み者と配偶者の人数月収額の基準 ※1家賃や住宅ローンを負担している場合に加算される限度額 ※2
一人182,000円(200,200円)以下41,000円(53,000円)以下
二人251,000円(276,100円)以下53,000円(68,000円)以下
三人272,000円(299,200円)以下66,000円(85,000円)以下
四人299,000円(328,900円)以下71,000円(92,000円)以下
五人以上同居家族が1名増加するたびに30,000円を加算する同居家族が1名増加するたびに30,000円を加算する
※1 居住地が生活保護一級地の場合は、()内の基準額を適用する
※2 居住地が東京23区の場合は、()内の基準を適用する

月収額の基準を超えているかどうかは、同居する家族との合計収入で判断します。ただし、家計に貢献していない家族の収入は合算されません。

たとえば、夫婦共働きで子どもがアルバイトをしていても、子どもの給料を生活費にあてていない場合には夫婦の合計額のみで判断されます。

ただし、離婚事件で生計を共にしていた配偶者が相手方となる場合は、収入は合算しないことに注意しましょう。

一定額以下の保有資産である

月収額のほかに、保有資産額にも基準があります。月収額が基準以下でも、保有資産が基準を満たしていない場合は、法テラスの無料相談や立て替え制度を利用できなくなります。

自身が利用条件を満たしているか、よく確認しておきましょう。ただし、無料相談と費用の立て替え制度で、含まれる保有資産が異なります。

無料法律相談において基準となる資産は、現金と預貯金のみです。

一方で、費用の立て替え制度における基準となる資産には、不動産や有価証券も保有資産に含まれます。(※不動産や有価証券は時価で計算)

保有資産における法テラスの利用条件は、次の表のとおりです。

世帯人数保有資産の合計となる基準
一人180万円以下
二人250万円以下
三人270万円以下
四人以上300万円以下

月収額と同様、離婚事件で配偶者が相手方の場合は、保有資産を合算せずに計算します。

なお、将来負担すべき医療費や教育費などの出費が見込まれる場合には、相当額が控除されたうえで判断されます。

勝訴の見込みがないとは言えない

解決の見込みがあると判断された事件のみ、法テラスを利用できます。債務整理の場合は、申し込み者の利益を期待できることが判断基準となります。

勝訴の見込みがないとは言えない、とあるように基準が明確ではありません。個人では基準を満たしているかを判断できないため、一度窓口へ相談してみましょう。

民事法律扶助の趣旨にあてはまる

法テラスは、経済的な理由で弁護士に依頼できない方や、法的なトラブルをどう解決すればよいかわからない方に向けたサービスです。

嫌がらせや報復、宣伝目的の場合は、法テラスの趣旨に沿っておらず利用を認められません。

法テラスで債務整理をするメリット・デメリット

法テラスで債務整理をするメリットやデメリットを把握しておきましょう。

メリット・3回まで法律相談が無料
・費用の分割払いができる
・弁護士を探す必要がない
デメリット・担当の弁護士や司法書士と相性が合わない可能性がある
・利用条件がある
・手続きに時間がかかる

法テラスで債務整理をするメリット

法テラスで債務整理をするメリットは、次の3つです。

  • 3回まで法律相談が無料
  • 費用の分割払いができる
  • 弁護士を探す必要がない

法律相談は3回まで無料で、過払い金請求の場合をのぞき、報酬金の支払いは不要です。

弁護士や司法書士事務所に直接依頼するよりも、費用を安く抑えられる可能性があります。法テラスが依頼費用を立て替えるため、月5,000円〜1万円の分割払いが可能です。無利息で支払いができるため、まとまったお金がない方でも利用しやすいでしょう。

弁護士を自身で探す必要がない点も、法テラスを利用するメリットです。

法テラスで債務整理をするデメリット

法テラスのデメリットは、3つあります。

  • 担当する弁護士や司法書士との相性が合わない可能性がある
  • 利用条件がある
  • 手続きに時間がかかる

法テラスが紹介する弁護士と相性が合わず、自身の要望どおりに手続きが進まない可能性があるでしょう。無料相談の回数は3回までと定められているため、3回のうちに依頼する弁護士を決定する必要があります。

しかし、法テラスを利用する際には、「持ち込み方式」で弁護士を選べます。持ち込み方式とは、依頼したい弁護士が法テラスと契約している場合、法テラスの制度を利用した依頼ができることです。

すでに依頼したい弁護士がいるなら、法テラスと契約しているか確認してみましょう。法テラスを経由して弁護士に依頼すると、直接依頼するよりも手続きが複雑になるため、解決までの時間が遅い可能性があります。

法テラスの審査には、約2週間かかります。混雑状況によっては1か月以上かかる場合もあるそうです。迅速な解決を望む方は、法律事務所に行き、直接依頼した方がよいでしょう。

法テラスで債務整理の手続きをするときの手順

スムーズに債務整理をおこなうために、法テラスの利用手順を把握しておきましょう。

1:法テラスに連絡する

法テラスへ相談する際には、受付時間内にサポートダイヤル(0570-078374)に問い合わせます。

  • 平日:9:00〜21:00
  • 土曜:9:00〜17:00
  • 日曜日や祝日:休日

平日の午後や土曜日は、混雑する可能性があります。時間に余裕があれば、平日の午前中に連絡するとよいでしょう。

電話が苦手な方や、忙しくて時間が取れない方のためにメールでの相談も24時間受け付けています。メールの返信には数日かかりますが、悩みの内容に合わせた法律や制度の紹介、適切な相談窓口の紹介を受けられるでしょう。

未成年の場合は、未成年に適用される法律や制度を紹介します。メールの問い合わせの際には、年齢を「19歳以下」を選択したうえで、問い合わせ内容の欄に未成年であることを記載しましょう。

2:無料法律相談の予約をとる

無料法律相談を希望すると、抱えている事件の内容や収入、資産状況を聞かれます。

法テラスの利用条件を満たしていると判断されれば、無料相談の予約に移ります。

3:弁護士に無料相談する

予約で決定した日時に、法テラス地方事務所(もしくは指定の相談場所)に行きましょう。

相談前に申し込み書に記入すると、利用条件を満たしているかを再度確認されます。問題なければ、弁護士による無料相談が始まります。

法律相談は1回30分と時間がかぎられているため、事前に内容をまとめておくと、スムーズに話がまとまるでしょう。

4:民事法律扶助を申し込んで審査を受ける

担当する弁護士への依頼が決定した後、依頼前に民事法律扶助へ申し込みましょう。

申し込み手続きは、担当弁護士が手続きをおこないます。住民票や収入証明書類など、必要な書類を揃え、弁護士に提出します。

民事法律扶助の審査結果が出るまでに、約2週間かかります。

5:弁護士・法テラスと契約する

審査に無事通過した後は、弁護士と法テラスとの三面契約を締結します。

手続きが完了すると、弁護士に依頼したことを正式に認められます。

6:弁護士が債務整理の手続きをおこなう

依頼を受任した弁護士は、債権者に対し、債務整理の受任通知を送付します。

通知が届いた時点で支払いの督促は一時的に停止し、債務整理の手続きが完了するまで返済する必要はありません。

債務整理に必要な手続きは弁護士がすべて担当するため、報告を待つのみです。

7:弁護士費用を分割払いで返済する

債務整理の依頼で発生した費用は、法テラスが立て替えます。立て替え金を分割払いで法テラスに返済しましょう。

一回の返済額は、原則1万円ですが、返済が厳しい場合には、法テラスに支払いができない旨を伝えてみてください。

返済の猶予をもらえる場合があります。返済しないまま放置していると、法テラスから督促が来るため、必ず連絡しましょう。

放置し続けると、最悪の場合は裁判に発展し、財産の差し押さえになる可能性があります。

まとめ

法テラスでは、無料の法律相談が利用可能です。法テラスが費用を立て替えるため、弁護士に債務整理を依頼しやすいでしょう。

一方で、担当する弁護士との相性が合わないことや、手続きに時間がかかることがデメリットです。月収や預貯金が一定額以下、かつ民事法律扶助の趣旨にあてはまるなど、法テラスには利用条件があります。

利用できるかどうかを知るために、一度サポートダイヤル(0570-078374)に連絡してみましょう。

※本記事の情報は2023年7月時点のものです。
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